昨日は久々に深夜に帰宅した。
「大いなる沈黙」という映画が上映最終日で、どうしても観たかったから。
うーん。すごい映画でした。
2時間45分、沈黙に引き込まれる。
フランスの山奥にある厳格な修道院で、修道士たちが淡々と繰り返す静寂に包まれた祈りの日々を映す。
音楽や照明は一切使われず、沈黙のなかで聞こえるのは静かな物音と虫の声、鳥の囀り、雨の音や風の音だけ。
静寂のなかで感覚は繊細になる。余分なものがないからこそ、自然やいのちの美しさがはっとするほどに際立つ。
ただ静かに祈る修道士の姿や
雨に濡れる緑や窓から差し込む光
中世から変わらない石造りの聖堂
ただそこに置かれた布やボタン
調理場の野菜の鮮やかな色
そういうすべてがまるで絵画のように美しい。
沈黙のなかのさざめき。
深夜に始まる朝課で、暗闇に響き渡る聖歌。
永平寺の朝課を思い出した。
あそこまで自分を捧げて委ねて生きられたら幸せだろうな。
迷いのない修道士の一途さに胸を打たれる。
持たない豊かさ、純粋にいのちを生きる贅沢がそこにあった。

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